印紙税とは?契約書には収入印紙を貼らないといけない?貼らなかったときのペナルティは?
契約書や領収書などをもらったとき、端に収入印紙が貼られているものがあると思います。そうかと思えば、収入印紙が貼られていないものもあったりします。あまり気にしない方もいるかもしれませんが、いざ自分で契約書を作成したり領収書を発行したりすることになると、「あれ、収入印紙って必要なのかな…?」と心配になるかもしれません。
今回は、印紙税についてご説明します。
1 印紙税とは?
印紙税とは、簡単にいえば、経済活動において書面の作成が重要な役割を果たしていることに着目して、その文書に課税する税金です。
2 どうやって支払う?
印紙税は、原則として、確定申告をしたり税務署に申請したりして納税するのではなく、作成した文書に収入印紙を貼付して消印をすることで納税します(収入印紙を使用したことが納税となります。)。
消印は、文書に押印されたハンコでなくても大丈夫ですし、契約当事者双方でなくとも片方だけで消印をしても構いません。
3 課税文書とは?
実は、全ての契約書や領収書などに印紙税がかかるわけではありません。課税される文書と課税すべき印紙税額は、印紙税法の別表第一に記載されています。国税庁のホームページにも一覧表が掲載されていますので、参照してみてください。
課税文書は、1号から20号まで規定されています。いいかえれば、ここに記載されていない文書には印紙を貼る必要はありません。
たとえば、領収書は、17号文書となります。印紙税の金額は、領収書の金額に応じて定められていて、100万円以下の領収書や金額の記載のない領収書の印紙税額は、200円です。
ただし、金額が5万円未満のものについては、非課税とされています。また、営業に関しないものも非課税とされていますので、個人が営業としてではなく領収書を発行する場合も非課税となり、印紙を貼る必要はありません。
契約書に関しては、不動産に関する取引の契約書は課税文書に該当するものが少なくありません(1号)。ただし、賃貸借契約書は、土地の賃貸借契約書は課税文書となりますが、建物の賃貸借契約書は課税文書に当たらないため、非課税となります。
なお、駐車場の賃貸借契約書については、何を借りるのかで変わってきます。駐車場という「施設」を借りるものであれば、土地の賃貸借とはいえないので、非課税となります。一方で、土地そのものを駐車場として利用するために借りる場合は、土地の賃貸借契約書ということになり、課税文書となってしまいます。
他に一般的な契約書として例を挙げると、消費貸借に関する契約書(1号)、運送に関する契約書(1号)、請負に関する契約書(2号)などが、課税文書とされています。これも金額に応じて印紙額が定められています。
ここでいう請負には、工事や建築などの請負だけでなく、俳優の出演契約書やスポーツ選手の契約書などその人自身として役務を提供するようなものも含まれます。
課税文書一覧の表をよく確認してみると、売買契約書(不動産など課税文書として挙げられている譲渡目的物以外)は挙げられていませんので、単発のこれらの売買契約書は非課税ということになります。
上記のような契約書の種類による区分け以外に注意したいのが、継続的取引に関する契約書です。他の課税文書に該当しないような取引であっても、継続的取引に関する契約書であれば、課税文書になり、一律4000円の印紙が必要になります(7号)。たとえば、物品の継続的売買取引契約書などです。業務委託契約書も、その内容によっては継続的取引契約書に該当するでしょう。
なお、継続的取引契約書でも、取引期間が3か月以内で更新の無いものは非課税文書とされています。
4 印紙を貼らなかったときのペナルティは?
課税文書に収入印紙を貼って消印をしなかった場合、過怠税と合わせて本来支払うべき印紙税額の3倍の金額を納めなければならないとされています。
また、不正な行為により印紙税を免れた場合、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方という重い罰則も規定されています。
5 その他
印紙額の基礎となる金額の考え方、一覧表の各号の2つ以上に該当する文書の場合の印紙税額の考え方など、詳しくは国税庁のホームページに掲載されていますので、そちらもご参照ください。
6 まとめ
契約書や領収書のやり取りは、取引の場面では頻繁に発生しますが、イレギュラーな契約書のやり取りなどの場合は、印紙が必要なのか不要なのか分からないときがあるかもしれません。そのようなときは、税理士や弁護士などの専門家に相談しておいた方がよいでしょう。なんとなく印紙を貼らずに済ませてしまうと、あとで過怠金を支払わなければならないなどのペナルティが生じる恐れがありますのでご注意ください。